私たちの社会に浸透しつつある民泊。最近では空き家や空いているマンションの一室を有効活用するために民泊を始める人も少なくありません。民泊を始めるにあたっていくつか必要な設備があることから物件をリフォームする場合が多いですが、物件の内装が集客に大きな影響を与えるため賢くリフォームすることが重要です。
本記事ではリフォームに必要な知識をわかりやすく説明していきます。
民泊を始める際にリフォームは必要?

外国人観光客の増加とともに増えてきた民泊は、現代の若者にとって当たり前の選択肢となってきました。このように民泊を選ぶユーザーは、宿泊施設が掲載されているサイトから物件の内装や施設などの写真に目を通し、宿泊するか否かを決めています。
そのため、物件の清潔感や内装、設備などは、それを決定づける大きな判断材料となり、物件の稼働率に直結すると言えます。つまり、物件の内装が今後の集客に大きな影響を与えるのです。
これらのことを考慮すると、物件自体がきれいな場合はリフォームは必要ありませんが、反対に古い場合や、汚れがある場合はリフォームすることをおすすめします。
いかにして独自の魅力をアピールするのかが重要視されている今、リフォームによって物件のクオリティを上げ、ユーザーの心を掴めるような物件作りが重要となるでしょう。
民泊のリフォームを行うメリットとデメリット

民泊が合法化されたことから物件数が増加しており、観光地などの需要のある地域では競争が激化しているため、周りと差別化することが重要になってきました。このような状況で、リフォームをすることで差別化を図るケースが増えています。
そんな民泊リフォームのメリット、デメリットを見ていきましょう。
メリット
リフォームする最大のメリットは、宿泊客に適した物件作りができるという点です。例えば、外国人から人気の和室テイストの部屋に変えたり、最近流行りの北欧風の内装にしたりすることも可能です。
古くなった部分を直すだけなく、同時にリノベーションをすることで他の物件との差別化がしやすくなります。差別化を図ることで多くの宿泊客の目に留まれば、それだけ高稼働も期待することができるでしょう。
民泊の形態によって必要となる物件設備が異なりますが、リフォームを行うことでそれぞれの形態に合わせた物件作りを行なうこともできるようになります。
デメリット
反対に、民泊リフォームのデメリットにはコストがかかるということが挙げられます。空き家物件の中には内装が古くなっているものもあり、一から整備し直すとなるとかなりのコストがかかります。
また、物件の間取りや設備、テイストの変更、内装へのこだわりなど、手を加えれば加えるほど費用はさらに高くなるでしょう。民泊開業後も維持費などがかかってくるため、できるだけ初期費用を抑えたいというのも無理はありません。
更に、リフォーム工事にはある程度の時間が必要とされるため、すぐに開業できないという点もデメリットの一つです。宿泊業の繁忙期と重なってしまうと、せっかくの時期を逃してしまうことになるため、比較的利用者の少ない閑散期を狙う必要があります。
民泊のリフォームを行う際の注意

民泊のリフォームをする場合、開業する上で必要とされている規定を満たすよう注意する必要があります。一つでも満たないものがある場合、またリフォームが必要となってしまう可能性があり、そうなると経費が余分にかかってしまうことになります。
賢く効率的にリフォームをするためにも具体的な規定をしっかり把握しておくことが大切です。
住居用物件は用途変更を行う
既存の建築物を活用する場合は、用途を変更する必要があります。一戸建てやマンションの一室など、通常住居として使われている場所を民泊として利用する際は、用途変更の手続きが必ず必要となります。
特に、マンションには管理組合があり、場合によっては民泊ができない可能性もあるため、事前に確認しておかなければなりません。
手続きには書類や費用が必要となる場合もあるため、安心して民泊事業を始めるためにもこれらの申請は確実に済ませておきましょう。
消防法令を確認する
民泊を始めるにあたって、消防法令の確認は必須となります。消防法令とは、火災を予防するだけでなく、火災や地震等の災害から被害を軽減させるために必要な設備を設けなければならないというものです。
簡易宿所や民泊などの宿泊所にも、それらの用途に合う消防用の設備を設置し、防炎物品の使用や防火管理者の選任などをする義務があります。
また、部屋の広さや行う民泊の種類(特区民泊、旅館業)などによって必要な設備が異なるため、それぞれの部屋に何が必要なのかあらかじめ把握しておきましょう。
リフォームのタイミングで必要な消防設備を揃えられるように、事前に消防法令を確認しておくことが重要です。
旅館業の場合は旅館業法
民泊運営のスタイルはいくつか種類がありますが、旅館業という運用形態でするのであれば旅館業法を確認しなければなりません。この場合は、住宅宿泊事業などの運営方法とは異なり、収容人数によって設置すべきトイレなどの設備数が定められています。
その他にも、客室の最低床面積や窓の採光などについても細かく基準が決められているので、それに沿った内装にする必要があります。
ただし、旅館業法の許可が下りると営業日数の上限や宿泊日数の制限がなくなるという利点もあるので、収益を増やせる可能性が高くなります。
今後民泊を始める物件に何を求めるかを確認しつつ、その運営スタイルにあった内装にできるよう事前に確認してリフォームを進めることが大切です。
民泊のリフォームにかかる費用相場

気になるリフォームの費用ですが、当然広さによってかかる費用も異なります。大体の相場は2DK〜3DK(33平方メートル以上)の広さに対して、約150万円〜200万円ほどと言われています。マンションの一室の1LDK〜2LDKを工事する場合、約500〜1000万円ほどが必要となるでしょう。古民家を一からリフォームする場合は、約1500万円が相場となっています。トイレを和式から洋式に変更したり、洋室を和室に変更したりするなど、小さな工事でも一つにつき大体100万円前後かかると考えるといいでしょう。
リフォームの広さ | リフォームの費用 |
2DK〜3DK | 約150〜200万円 |
1LDK〜2LDK | 約500〜1000万円 |
古民家 | 約1500万円 |
和/洋の変更 | 約100万円 |
壁紙やフローリングの張り替えは比較的安く工事できるのに対し、水回りの工事は高額になりやすいため、費用を抑えたい場合はどこを工事して内装をきれいにするかを明確にすれば効率よくリフォームができます。
リフォームを行う際のポイント

宿泊者は、民泊以外にもホテルや旅館なども選択肢として考えている可能性があります。そのため、単に内装を新しくするだけではうまく差別化が図れません。
リフォーム工事を行なう際には、民泊ならではの利点を活かしながら宿泊者に選んでもらえるような工夫が必要です。では、具体的にどんなことを考慮してリフォームをすればいいのでしょうか。
ターゲットに合わせた内装デザイン
かつて訪日外国人が日本の実生活を体験しようと民泊への宿泊が流行しましたが、今では日本人観光客やファミリー層にも需要があります。
このように民泊を利用する客層や国籍は様々であるため、ターゲットを明確にし、それに沿った内装作りや工夫が重要です。外国人宿泊客には和風テイストの内装、日本人女性をターゲットにインテリアやアメニティーを充実させた民泊、ファミリー向けに広々とした空間などと特徴的な民泊が民泊の流行とともに増えてきています。
今後民泊を始める物件の規模や立地、利用されやすい目的を照らし合わせれば、ターゲットを絞ることができるでしょう。そして、定めたターゲットに合わせた内装デザインをすることで、多くの反響を見込めやすくなります。
ユーザーニーズを考慮
ターゲットの明確化をした後は、さらに物件のエリアなどから細かなニーズを把握することが大切です。民泊はエリアによって利用され方がかなり異なります。
たとえば、空港の近くの物件であればフライト前の短期滞在での利用がほとんどを占めるため、キッチンなど生活感のある部分を充実している必要はありません。反対に、田舎や山など、自然を感じるような場所にある大型物件は物件内で過ごす時間が増えるため、キッチンなどに加えてくつろげるスペースなどを充実させるべきだと言えるでしょう。
エリアや立地はもとより、旅行なのかビジネスなのかといったターゲットの利用目的を把握することで物件の内装も決めやすくなり、寝具などの家具も選びやすくなるでしょう。
民泊リフォーム事例

ここまで民泊のリフォーム工事の種類やポイントについて解説してきましたが、まだ民泊リフォームの具体的なイメージができていない方も多いのではないでしょうか?
ここでは、民泊リフォームの事例をご紹介します。
物件概要
押上駅から徒歩10分という好立地なこの民泊物件は、広い空間をうまく活用し「グランピング」をテーマに他にはない物件づくりを行いました。テントや木のチップ、アウトドアグッズを設置し、都心にいながらもアウトドア気分を味わえる空間づくりがされています。
宿泊可能な人数が最大8人であることから、20代の友人同士で来るグループと家族連れをターゲットにしており、プロジェクターを設置して映画鑑賞ができるようにしたり、広い団らんスペースを設けたりするなど、都心で非日常を味わいたいというターゲットの利用目的に合わせた備品設置がされているのも特徴です。
ハンモックやハンギングチェア、木の椅子、ウッドチップなどアウトドアを感じられるアイテムがたくさんあり、細部にまでこだわった空間づくりで物件の付加価値を提供しています。
リフォームポイント
弊社のリフォームポイントは廃材をつかった手作りの家具作りになります。既製品というものがないので物件のオリジナル家具が作成できます。過去の例でいいますと滑り台付きの2段ベット、3万円ほどで作る大きなダイニングテーブル。手作りハンモックなど大手ではできないリフォームポイントが数多くあります。
気になる方はぜひ問い合わせお願いいたします。
まとめ
より多くのお客さんに選んでいただくためには、エリアや設備などの便利さだけではなく、快適で泊まりたくなるような空間作りも重要となるでしょう。
設備や空間を整える方法としてリフォームが考えられますが、民泊といっても複数の種類があり、物件や運営の形態によって満たすべき条件や設備も異なります。
リフォームは一度で多額の費用がかかるからこそ、あらかじめきちんと計画し、賢くリフォームをすることが重要です。今後民泊を始めようと考えている方は、ぜひリフォームを視野に入れて周辺の物件と差別化できるような民泊作りをしてみると良いでしょう。